コーチングはリーダーシップの育成にも効果あり!具体的な内容を解説
企業の経営者やマネージャーには、部下のパフォーマンスを引き出し集団の力を最大化するリーダーシップが求められます。リーダーシップを育むために近年注目されているのが、コーチングと呼ばれるスキルです。本記事では、そんなコーチングについて解説します。マネジメント層の育成を検討している方は、必見の内容となっています。
企業は優れたリーダーを必要としている
企業が成果を挙げ、成長していくためには優れたリーダーが必要です。しかし、具体的にどのような人物やアクションが、優れたリーダーとされるのでしょうか。
以前はリーダーというと、自らのスキルでぐいぐいと集団を引っ張るイメージがありましたが、近年では、より集団をまとめる力を求められるようになりました。そのため、能力を引き出す役割がコーチングというわけです。続いては、コーチングについて詳しく学びましょう。
コーチングとリーダーシップの関係
コーチングとは、最も情報を持っている現場の部下の思いを引き出したうえで、部下が主体的に考えて動くようにサポートすることです。上司が正しい姿勢でコーチングを行うことで、部下は上司に信頼を寄せてコミュニケーションを行います。
ここでは、「上司に言われたから実行する」という一方的なコミュニケーションではなく、双方向のコミュニケーションがあるのが特徴です。ここでは部下に寄り添い、彼らが主体的に動くように立ち回ることが上司に求められますが、このときの上司が行うコーチングを、リーダーシップ・コーチングといいます。
リーダーシップ・コーチングとは
ここではリーダーシップ・コーチングについてさらに深く解説します。元々コーチングは、「人は誰でも自らの内部に、自己を成長させ、実現させる力を持っている」というアメリカの臨床心理学者・ロジャースの考えに基づいて、個人の力を引き出すために行われるものです。
これに対しリーダーシップ・コーチングは、「集団はどんな集団でも集団の内部に、集団を成長させ、実現させる力を持っている」という考えに基づき、集団の力を引き出すために行われます。
つまり、集団に属する個々のメンバーの能力や可能性を発揮させ、それぞれが主体的に考えて行動するためのコミュニケーションサポートを行うというものです。これが、対個人ではなく対集団のリーダーに求められるコーチングなのです。
具体的なリーダーシップ・コーチング
最後に、具体的なリーダーシップ・コーチングのアクションについて見ましょう。人の成長には「環境、行動、能力、信念・価値観、自己認識」の5フェーズがあるとされており、それぞれに適したアクションが必要になるので、順番に解説します。
環境フェーズに対してのガイディング&ケアング
部下を成長させるためには、彼らを取り巻く環境を整えることが大事です。ビジネスにおいては、チーム構成や就業規則、仕事で使う道具やソフトなどを適切に選び、与えることです。
失敗例として挙げられるのが、「自分で考えてやってみろ」とだけ指示を出し、適切なツールや道筋、ルールなどを共有しないことです。この結果、部下は適切な進め方が分からず、混乱してしまいます。そうならないように、部下の主体性を奪わない程度に、適切な環境を用意しましょう。
行動フェーズに対しての狭義のコーチング
実際に資料を作ったり、営業をしたりといった行動フェーズにいる部下に対しては、能力フェーズで教えたスキルが、正しく行われているかのフィードバックが必要です。ここでは、部下の行動を観察し、その方向性や進め方が適切かどうかを見極めて助言することが大切です。
能力フェーズに対してのティーチング
能力フェーズに対しては、教えること(ティーチング)が有効です。具体的には、仕事を進める際に5W1H(いつ、どこで、誰が、なぜ、どのように)を明確にして教えるイメージです。その仕事を行うべきタイミングや具体的な進め方、そもそも何の目的があって行うものなのかが分かっていないと、部下のパフォーマンスは低下してしまうのです。
信念・価値観フェーズに対してのメンタリング
部下の信念・価値観に対しては、相手が重要だと考えていることを明確にし、強化するメンタリングが必要です。たとえば、「仕事で大切にしたいことは何?」といった質問をし、部下が自由さを重視しているのであれば多くの裁量を持たせたり、スピードを重視しているのであれば意思決定のスピードを速くしたりといった対応です。
自己認識フェーズに対してのスポンサリング
部下に対する上司のコーチングとして最も影響しやすいのが、部下の自己認識を健全なものにするスポンサリングです。端的にいえば、部下が自らを価値や役割のある存在だと認め、可能性を発揮するためのサポートです。
「自分は何をやってもダメだ」などといった自己認識では、部下の可能性は発揮されません。それを防ぐため、ここでは部下を仕事仲間ではなく人としてリスペクトし、褒めたり讃えたりすることが重要です。
まとめ
本記事ではコーチングや、上司が部下に対して行うべき具体的なアクションについて解説しました。どんな素晴らしいスキルや可能性をもっている集団でも、そのメンバーに対しての適切なコーチングがなければ、一気に全体のパフォーマンスが低下してしまうこともありえます。
集団におけるリーダー、つまり上司は、ただスキルを伝授したり指示を出したりするのではなく、部下の成長フェーズに合ったアクションを心掛ける必要があります。本記事でご紹介したリーダーシップ・コーチングを意識して、より素晴らしいパフォーマンスが発揮できる集団を作り上げましょう。