コーチングとカウンセリングは別物?それぞれの違いと共通点とは
スポーツ選手の育成、企業の目標達成などに役立つマネジメント方法として、コーチングが注目されています。しかし、コーチングという言葉は耳にしたことがあるけれど、詳しく知らない、カウンセリングとの違いがわからないという方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、コーチングとカウンセリングの違いや共通点について解説します。
そもそもカウンセリングとは
コーチングという言葉は耳にしたことがない方でも、カウンセリングという言葉は聞いたことがあるという方が多いのではないでしょうか。そもそもカウンセリングとは、クライアントの感じている不安や悩みを解決することを目的として行うサポート方法のことです。
そこで、心理カウンセラーと呼ばれるカウンセリングのプロが、クライアントの話に耳を傾け、対話することで悩みを解決していくのです。また、心理カウンセラーはクライアントに対してアドバイスをするのではなく、クライアントの発言に対し感情や意見を挟まずに聞き入れるスキルが必要とされます。そして、クライアントが本音で悩みを話せる環境を作り、クライアント自身が新しい気づきを得たり、問題を自己解決できたりするようサポートするのです。
さらに、自分自身で問題を解決できる力を身につけることにより、誰かから解決策を与えられるよりも前向きになれることもカウンセリングの魅力です。つまり、カウンセリングは、クライアントが抱えている悩みや不安を、クライアント自身の力で解決できるようサポートすることを目的としています。そして、カウンセリングは主に精神疾患を抱える前の予防や改善方法として、医療現場で活用されています。
コーチングとカウンセリングの違い
コーチングとカウンセリングはどちらもクライアントの話を聞くという行ためがメインですが、異なる点もあるようです。まず、クライアントの状態が違うという点が大きな違いです。
たとえば、カウンセリングはクライアントが抱えている悩みや不安に対してサポートを行うため、心理状態が落ち込んでいる人に対して行うことがほとんどとなります。一方、コーチングは、目標やゴールを達成することを目的としているサポートであり、現状の状態をより向上させたいという活力のある人に対してサポートを実施します。
次に、焦点が違うということもカウンセリングとコーチングの違いです。カウンセリングは不安や問題の解消を目的とするサポートであることから、原因は何かを見つけ出すために過去を振り返ります。反対にコーチングは、クライアントが目指している目標を達成するためのサポートを行うため、過去ではなく現状の状態を見つめ直し、将来に目を向けます。つまり、サポートする人が質問を投げかける際に注目するポイントがまったく異なるのです。
さらに、対話の流れが違うということもカウンセリングとコーチングの違いだといえるしょう。なぜなら、カウンセリングは問題を解決するために問題の把握からスタートするのに対し、コーチングは目標達成のために理想の確認から対話をスタートさせるからです。したがって、最終的にどのような気づきをクライアントに与えたいかによって、サポート側の対話の順序に違いが発生するのです。
コーチングとカウンセリングの共通点
コーチングとカウンセリングは、クライアントの状態や焦点を当てるポイント、対話の順序などに違いがありますが、どちらもクライアントと対話をするという行為は同じとなります。そのため、共通点もいくつか存在します。
まず、人に対して支援をするということがコーチングとカウンセリングの共通点です。クライアントの状況は違っても、どちらも人に対して支援し、気づきを与えて支援するという目的は同じなのです。
また、求められるスキルにも共通点があります。なぜなら、コーチングとカウンセリングは、サポート側が聞き役に徹することが原則となっています。そのため、相手の話を傾聴する、質問する、認めるなどのスキルはコーチングでもカウンセリングでも必要となるのです。
また、クライアントとの信頼関係が必要であることも共通点となるでしょう。なぜなら、信頼関係がない状態でコーチングやカウンセリングを実施しても、相手の本音を引き出すことができないからです。そのため、前提としてコーチングやカウンセリングは、クライアントがサポート側を信頼し、話をしてくれる状況を作り出す必要があるのです。
まとめ
コーチングとカウンセリングは、クライアントの話を傾聴し、相手に気づきを与えることでサポートするという点が共通点となります。しかし、クライアントの状態や焦点を当てるポイント、話を進めていく順序などに違いがあります。また、コーチングとカウンセリングは、サポート側のスキルが高いということが必要であることに加え、クライアントとの信頼関係を構築しておくということが非常に重要です。